『長谷の大仏』
『長谷の大仏』は、鎌倉長谷にある浄土真宗「高徳院」の本尊、国宝銅造「阿弥陀如来像」です。
江ノ電長谷駅下車、大仏通りを真っ直ぐ北上し徒歩6分の地にあります。
造立が開始されたのは1252( 建長4) 年。制作には僧浄光が勧進した浄財が当てられたと伝えられています。
高さ約11.3m、重量約121t の仏像は、規模こそ奈良東大寺の大仏に及ばぬものの、ほぼ造立当初の像容を保ち、日本の仏教芸術史上ひときわ重要な価値を有しています。
当初大仏を収めていた建物・堂宇(どうう)は、『太平記』と『鎌倉大日記』に、1334( 建武元) 年および1369( 応安二) 年の大風と1498( 明応七) 年の大地震によって損壊したとの記録があります。以後、露坐となり荒廃が進んだ尊像は、江戸中期、浅草の商人野島新左衛門( 泰祐) の喜捨を得た僧、祐天・養国の手で復興をみました。
角張った平面的な面相、低い肉髻(にっけい、頭髪部の椀状の盛り上がり)、猫背気味の姿勢、体部に比して頭部が大きい点など、鎌倉期に流行した「宋風」の仏像の特色を示しており、鎌倉時代を代表する仏教彫刻として国宝に指定されています。
像は衣を通肩(両肩を覆う着装法)にまとっています。浄土教信仰に基づく阿弥陀像が多く来迎印(右手を挙げ、左手を下げる)を結ぶのに対し、本像は膝上で両手を組む定印(じょういん)を結んでおり、真言ないし天台系の信仰に基づく阿弥陀像であることがわかります。
毎年8月に行われるイベント「長谷の灯り」では、境内がライトアップされます。
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